中古車を試乗するときに足回りから異音が聞こえると、購入してよい車なのか、修理前提で考えるべきなのか、すぐに判断できず不安になりやすいものです。
とくに段差でゴトゴト鳴る、ハンドルを切るとギシギシ鳴る、低速でコトコト続くといった症状は、サスペンションやブッシュだけでなく、タイヤ、ブレーキ、ステアリング機構、過去の使われ方まで関係することがあります。
中古車は新車と違って前オーナーの整備状況や走行環境が一台ごとに異なるため、同じ年式や走行距離でも試乗時の違和感をどう読み取るかで購入後の満足度が大きく変わります。
この記事では、足回りの異音を音の出方、試乗ルート、販売店への確認、保証や契約書の見方までつなげて整理し、安さだけで決めて後悔しないための判断軸を具体的に解説します。
中古車の試乗で足回りの異音を見抜くポイント

中古車の試乗で足回りの異音を見抜くには、音の大きさだけでなく、どの場面で鳴るか、左右どちらから聞こえるか、振動やハンドルの取られ方を伴うかを分けて確認することが大切です。
足回りの部品は路面からの衝撃を受け続けるため、ゴム部品の劣化やリンク類のガタが少しずつ進み、最初は小さな音だけで表れることがあります。
試乗時に気になる音が出た場合は、その場で原因を一つに決めつけるよりも、症状を記録して販売店に点検内容と保証範囲を書面で確認する姿勢が安全です。
段差でゴトゴト鳴る
段差を越えた瞬間にゴトゴトと鈍い音が出る中古車は、サスペンション周辺のリンク、スタビライザー、ショックアブソーバーの取り付け部、アーム類のブッシュなどに劣化や緩みがある可能性を考えます。
この音は舗装の継ぎ目やマンホールの段差など小さな入力で出ることもあり、試乗コースが平坦な大通りだけだと気づきにくいため、販売店の許可を得て低速で小さな凹凸を通る確認が役立ちます。
ただし荷室の工具、スペアタイヤ周辺、後席のシート固定部、社外パーツの固定不良でも似た音が出るため、音がしたからすぐ重大故障と決めつけるのではなく、車外下部からの音か室内の遊びかを切り分ける必要があります。
購入判断では、販売店が原因候補を曖昧にしたまま納車しようとする車よりも、試乗後にリフトアップ点検や増し締め確認を行い、交換が必要な部品と費用負担を明確にしてくれる車のほうが安心です。
低速でコトコト続く
低速走行中にコトコトと連続する小さな音が続く場合は、ブッシュやリンクのわずかなガタ、ショックのへたり、アッパーマウント周辺の遊びなど、足回りの消耗が表面化していることがあります。
このタイプの音は速度が上がるとロードノイズに紛れて分かりにくくなるため、試乗では時速が低い住宅街のような場面で窓を少し開け、エアコンやオーディオを止めて聞くと判断しやすくなります。
中古車では年式が古いほどゴム部品の硬化が進みやすく、走行距離が少なくても長期間動かされていなかった車では、サスペンションの動き始めに違和感が出ることがあります。
販売店から正常範囲と言われた場合でも、同型車や同程度の別車両に乗り比べて差が大きいなら、購入前整備でどこまで対応できるかを確認し、納車後の自己負担になる範囲を把握しておくべきです。
ハンドル操作でギシギシ鳴る
停車状態からハンドルを切ったときや、低速で曲がりながらギシギシときしむ音が出る場合は、サスペンションの可動部、ステアリング機構、アッパーマウント、タイロッド周辺に負荷がかかったときの症状として捉えます。
ハンドル操作時の音は足回りだけでなく、パワーステアリング系統、タイヤと路面の摩擦、ブレーキ周辺の引きずりに近い症状でも発生するため、音と同時に重さや引っかかりがないかを確認します。
とくに据え切りだけで大きく鳴る車はタイヤに負担をかけやすいため、試乗時は安全な場所でゆっくり切り始め、音が左右どちらで強く出るか、切り返しで再現するかを販売店と一緒に確かめると話が進めやすくなります。
操作感に違和感があり、まっすぐ走らない、戻りが悪い、ハンドルセンターがずれるといった症状も同時にあるなら、単なるきしみ音ではなくアライメントや足回りの損傷履歴まで含めて慎重に確認する必要があります。
ブレーキ時にゴーと響く
ブレーキを踏んだときにゴーという低い音やザラついた音が出る場合は、足回りの異音だと思っても、実際にはブレーキパッド、ディスクローター、キャリパーの動き、タイヤの偏摩耗が関係していることがあります。
中古車では展示期間中のサビがローター表面に付くこともあり、軽いサビなら走行で落ち着く場合がありますが、深い段付き摩耗やパッド残量不足があると納車後すぐに整備費用が発生します。
試乗では安全な直線路で軽く踏む、少し強めに踏む、停止直前まで踏むという変化をつけ、音だけでなくペダルの振動、車体の揺れ、左右どちらかに流れる感覚を確認します。
JAFは普段と違う振動がある場合に症状からトラブル箇所を判断する考え方を示しており、ブレーキ時の振動や片効きに近い感覚がある車は、購入前に整備工場レベルの点検を前提にしたほうが安全です。
加速時にカタカタ出る
発進や加速の瞬間にカタカタという音が出る中古車は、足回りの音に聞こえても、ドライブシャフト、エンジンマウント、ミッションマウント、排気系の揺れ、下回り部品の干渉が関係していることがあります。
とくに前輪駆動車でハンドルを切りながら発進したときにカタカタ音が強まる場合は、駆動系のジョイント周辺に負担がかかった場面として注意して観察します。
加速時の異音は一定速度で消えることも多いため、試乗では急加速ではなく緩やかな発進と少し強めの発進を分け、同じ音が再現するかを確かめると原因の方向性を絞りやすくなります。
販売店に相談する際は、足回りから音がするという表現だけでなく、発進時、右折時、左折時、登坂時など具体的な場面を伝えると、点検する部位が広がりすぎず、整備内容の説明も受けやすくなります。
左右で音が偏る
右側だけ、左前だけ、後ろ側だけのように音の位置が偏って聞こえる場合は、その周辺のタイヤ、ホイール、サスペンション、ブレーキ、フェンダー内の干渉まで含めて確認します。
足回りの部品は左右で同じように消耗するとは限らず、縁石への接触、片側だけの段差通過、事故ではない軽微な下回りヒットでも、片側だけ先に異音が出ることがあります。
試乗では運転席から聞こえる方向だけに頼ると勘違いしやすいため、同乗者に後席や助手席で聞いてもらい、音の位置やタイミングを別の耳で確認することが有効です。
左右差があるうえにハンドルが取られる、タイヤの摩耗が片側だけ強い、車高が左右で違って見えるといった症状が重なるなら、単なる消耗音ではなくアライメントや取り付け部の状態を疑って慎重に判断します。
振動を伴う音を分ける
足回りの異音は音だけで判断しがちですが、同時にハンドル、ペダル、シート、車体全体へ振動が伝わるかを見ると、危険度や点検すべき場所を分けやすくなります。
JAFのトラブル解説でも、普段感じない振動は操作系から伝わるものと車体全体で感じるものに分けて考える視点が示されており、試乗では音と振動をセットで記録することが重要です。
| 症状 | 見たい場所 | 試乗時の注意 |
|---|---|---|
| ハンドル振動 | タイヤとホイール | 速度域を変える |
| ブレーキ振動 | パッドとローター | 安全な直線で踏む |
| 車体の揺れ | サスペンション | 段差後の収まりを見る |
| 左右への流れ | 空気圧とアライメント | 平坦路で確認する |
音が小さくても振動がはっきり伝わる場合は、乗り心地の好みだけで片づけず、購入前にタイヤ空気圧、偏摩耗、ブレーキ、アライメント、サスペンションの点検結果を販売店に示してもらうと安心です。
試乗後に書面で確認する
試乗で足回りの異音を感じたあとは、口頭で大丈夫と言われただけで終わらせず、どの音を確認し、どの部位を点検し、納車前に何を整備するのかを書面に残すことが大切です。
中古車は現状の状態に納得して購入する側面があるため、試乗時に感じた違和感を曖昧にしたまま契約すると、納車後に同じ症状が出ても説明の食い違いが起きやすくなります。
- 音が出た場面
- 左右どちらか
- 販売店の説明
- 点検予定の部位
- 交換部品の有無
- 保証対象かどうか
自動車公正取引協議会は保証付き中古車では保証内容が明記された保証書の確認を促しており、足回りの異音が気になる車ほど、保証期間、対象部位、消耗品扱いの範囲を契約前に確かめる必要があります。
試乗ルートで異音を引き出すコツ

足回りの異音は、展示場でエンジンをかけただけでは分からず、実際に荷重がかかる走行場面で初めて現れることが多い症状です。
試乗できる時間が短い場合でも、走る場所、速度、曲がり方、ブレーキの踏み方を少し工夫するだけで、購入後に気づきやすい違和感を事前に拾える可能性が高まります。
ただし試乗は販売店の車を借りて公道を走る行為なので、安全確認と交通ルールを最優先にし、危険な急操作や無理な段差通過で音を出そうとしない姿勢が前提です。
静かな道を選ぶ
足回りの異音を確認したいなら、交通量が多い幹線道路や荒れた大通りだけでなく、周囲の騒音が少なく、低速で安全に走れる道を試乗ルートに入れることが重要です。
ロードノイズや風切り音が大きい場所では、小さなコトコト音やギシギシ音が隠れやすく、車の状態ではなく周囲の音で判断を誤ることがあります。
販売店に試乗前から足回りの音を確認したいと伝えておけば、短いコースでも段差、舗装の継ぎ目、緩いカーブを含むルートを提案してもらえることがあります。
窓を開ける、オーディオを止める、エアコン風量を下げるという簡単な準備だけでも聞こえ方は変わるため、試乗開始直後から静かな環境を作る意識を持つと判断しやすくなります。
速度を段階的に変える
同じ足回りの異音でも、低速だけで鳴る音、中速で目立つ音、速度が上がると振動に変わる症状があり、一定速度で走っただけでは本当の状態を見落とすことがあります。
試乗では制限速度を守りながら、発進、低速巡航、少し速度を上げた巡航、減速、停止直前という流れを落ち着いて確認すると、音の出る条件を整理できます。
| 速度場面 | 確認する音 | 疑いやすい方向 |
|---|---|---|
| 発進直後 | カタカタ | 駆動系や固定部 |
| 低速巡航 | コトコト | リンクやブッシュ |
| 段差通過 | ゴトゴト | サスペンション |
| 減速時 | ゴー | ブレーキ周辺 |
速度ごとに音の表情を分けておくと、販売店に説明するときも再現確認がしやすくなり、正常範囲なのか、納車前整備で解消すべき症状なのかを相談しやすくなります。
同乗者に聞いてもらう
運転しながら足回りの異音を聞き分けるのは意外に難しく、ハンドル操作、交通状況、メーター確認に意識が向くため、小さな音の方向やタイミングを逃しやすくなります。
可能であれば家族や友人、車に詳しい人に同乗してもらい、助手席や後席で音の出る位置を聞いてもらうと、運転席だけでは分からない情報を得られます。
- 音が出た秒数
- 段差の種類
- 右左折の方向
- 窓の開閉状態
- 振動の有無
同乗者の役割は原因を断定することではなく、運転者が安全に集中できるように音の情報を補助することなので、試乗後に販売店へ伝える内容を一緒に整理すると判断の精度が上がります。
購入判断で見るべき整備履歴

足回りの異音が出た中古車を検討するときは、試乗で聞こえた音だけでなく、過去にどのような整備を受けてきたかを確認することで、購入後のリスクを現実的に見積もれます。
整備記録簿、車検時の交換履歴、タイヤ交換の時期、ブレーキ整備の有無、サスペンション部品の交換歴は、音の原因を推測する材料になります。
国土交通省と関係団体による自動車点検整備推進協議会は、ブレーキやタイヤを含む日常点検項目を案内しており、中古車でも基本的な点検の積み重ねが安全性に直結します。
点検記録簿を読む
点検記録簿は、過去に法定点検や車検整備でどの部品が確認され、どのタイミングで交換されたかを知るための重要な資料です。
足回りの異音が気になる車では、ショックアブソーバー、ロアアーム、スタビライザーリンク、タイロッドエンド、ブレーキパッド、ローター、タイヤの交換時期に注目します。
記録がすべて残っていない中古車もありますが、販売店が仕入れ後点検の内容を説明できるか、納車前整備でどこまで確認するかを明確にできるかで信頼度は変わります。
走行距離が少ないのに古いタイヤのまま、ブレーキ周辺の記録が乏しい、下回り点検の説明がないといった場合は、価格が魅力的でも追加整備費を見込んで検討するほうが現実的です。
保証範囲を確認する
足回りの異音がある中古車を買うかどうかは、保証が付いているかだけでなく、その保証がどの部品まで対象にしているかで大きく変わります。
保証付きという表示があっても、消耗品、ゴム部品、異音のみの症状、経年劣化と判断される部位が対象外になる場合があるため、言葉の印象だけで安心してはいけません。
| 確認項目 | 見る内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 保証期間 | 何カ月か | 距離制限も見る |
| 対象部位 | 足回りの範囲 | 部品名で確認 |
| 消耗品扱い | ゴム部品の扱い | 対象外に注意 |
| 修理場所 | 自社か提携先か | 遠方購入で重要 |
自動車公正取引協議会の案内にもあるように、保証内容は保証書に明記された期間や範囲を確認する必要があり、口頭の説明だけでは購入後のトラブルを防ぎにくいと考えるべきです。
現状販売を慎重に見る
現状販売の中古車は、車両価格を抑えやすい一方で、足回りの異音が納車後に修理対象になるかどうかをめぐって認識の違いが起きやすい購入形態です。
現状のまま渡すという意味を、すべて自己責任だから何も質問できないという意味に受け取る必要はありませんが、購入前に見られる不具合や違和感は契約前に確認しておくべきです。
- 試乗できるか
- リフトアップ確認できるか
- 整備費用は含むか
- 保証はあるか
- 不具合説明は書面か
- 納車後対応はあるか
消費者庁も中古自動車の購入や売却に関するトラブルへの注意を呼びかけ、事前の契約書確認や相談窓口の利用を案内しているため、足回りの異音がある現状販売車は契約条件をより丁寧に確認する必要があります。
販売店への聞き方と交渉の進め方

試乗で足回りの異音を感じたときは、販売店に対して感情的に不良車だと決めつけるよりも、再現した場面と確認してほしい部位を具体的に伝えるほうが建設的です。
販売店側も、いつ、どこで、どのような操作をしたときに音が出たかが分かるほど、点検担当へ内容を共有しやすくなります。
購入前の交渉では、値引きよりも納車前整備、保証範囲、点検結果の説明、契約書への記載を優先することで、後から言った言わないのトラブルを避けやすくなります。
原因を断定させない
足回りの異音について販売店に聞くときは、これはどこが壊れていますかと一つの原因を迫るよりも、どの部位を点検してもらえますかと確認したほうが現実的です。
異音は同じゴトゴトという表現でも、サスペンション、ブレーキ、タイヤ、内装品、下回りカバー、荷室の固定具など複数の原因があり、試乗だけで断定できないことがあります。
販売店がその場で即断できないこと自体は不誠実とは限りませんが、点検せずに正常ですと繰り返すだけなら、購入者側はリスクを背負う形になります。
信頼しやすい対応は、音を一緒に確認し、リフトアップや試走を行い、異常なしの場合でも確認した部位を具体的に説明してくれる対応です。
見積書に残す
試乗で足回りの異音があり、それでも購入候補に残す場合は、納車前整備として何を行うのかを見積書や注文書の備考欄に残すことが重要です。
部品交換を約束してもらう場合は、単に足回り点検と書くのではなく、可能な範囲で部品名、左右、作業内容、費用負担、納車前か納車後かを明確にします。
| 残したい内容 | 記載例 | 目的 |
|---|---|---|
| 症状 | 段差で前方異音 | 認識共有 |
| 点検部位 | 前足回り一式 | 作業範囲確認 |
| 交換予定 | 必要時交換 | 費用負担確認 |
| 保証 | 対象範囲明記 | 納車後対応 |
注文書に残せないと言われた場合でも、メールやメッセージで販売店の説明を保存しておくと、納車後に同じ症状が出たときの状況整理に役立ちます。
迷ったら第三者に相談する
足回りの異音について販売店の説明に納得できない場合や、契約後の対応で話が進まない場合は、早めに第三者の相談先を使う選択肢を持っておくと冷静に動けます。
相談先は状況によって異なり、契約や表示の問題なら消費生活センターや自動車公正取引協議会、整備内容の技術的な不安なら別の整備工場での点検相談が役立つことがあります。
購入前なら別の候補に切り替える自由があるため、相談が必要なほど不安が残る車は無理に契約せず、同じ予算で状態説明が明確な車を探す判断も十分に合理的です。
足回りの異音は安さより確認の深さで判断する
中古車の試乗で足回りの異音が聞こえたときは、音が小さいから大丈夫、価格が安いから仕方ないと簡単に流さず、音の種類、出る場面、左右差、振動の有無、販売店の説明を一つずつ整理することが大切です。
段差のゴトゴト、低速のコトコト、ハンドル操作時のギシギシ、ブレーキ時のゴー音は、それぞれ点検すべき部位が異なり、試乗ルートを工夫することで購入前に気づける可能性が高まります。
購入を前向きに考える場合でも、点検記録簿、保証書、注文書、納車前整備の内容を確認し、口頭説明だけでなく書面に残すことで、納車後の不安やトラブルを減らせます。
最終的には、異音そのものよりも、異音に対して販売店がどれだけ具体的に確認し、購入者が納得できる形で説明してくれるかが重要であり、その対応に不安が残るなら契約を急がない判断が安全です。



